シャボニカ日記帳

ただの日記です

『雨降る正午、風吹けば』観劇記録

7/17秋組観劇記録。

 

公式サイトからあらすじ引用↓

 

「死して尚、生きるものがある」

昭和四年(1929年) 日本。小説家 “坂本治郎”はまだ幼き頃、自身が原因となり愛する母親を事故で失う。それ以来、母の亡霊の呪いに苦しめられていた。
大人になった彼は己の贖罪(しょくざい)を書き綴った連載小説

【雨降る正午】の連載を始めたのだった。

とある梅雨の日。関東大震災によって家族を失った少女と出会い、治郎は家族の温もりを求め、少女に“風子”と名前をつけ、生きる業を与えた。風子は周囲の人々の優しさもあり、徐々に心を開き、人として歩みだす。

それから数年後。治郎は結核に襲われ、来年の春を迎えることが難しいことを告げられる。

これは、《何を遺すか》の物語。

 

王子小劇場、最初思わず通り過ぎるレベルで見つけにくかったです。並んでる人おらんかったら分からんかった…

整理番号順に並んで入場→SとAごとに自由席だったけど時間2分前に列形成しだして揃い切らないまま入場開始、結果番号早いお客さんと揉めてたのを見たのでそこは改善すべきだと思う。

 

以下内容含む感想。

舞台は元々三好さん経由で知って、内容も面白そうなので見に行きました。ただ、期待値を高くしすぎちゃったのもあってあんまり自分には刺さらなかったかなぁ。

私は死んで遺せるようなものは何も持っていないのであまり共感出来なかったのかな…この舞台をきっかけに何かを残せる人間に少しでもなれたらいいなぁと焦りみたいな感情はちょっと芽生えた。私は何も取り柄のない友人も少ない愚かな人間なので…

 

追記:多分私に刺さらなかった理由として、この物語を"坂本治郎"の物語だと思ってたのがあると思う。これを"雨降る正午、風吹けば"として見たらまた何かが変わってたのかもしれない。そう思う。

 

三好さん、生に無頓着な役が似合うというか儚いというか…流石過去作で亡霊だの概念だのやってただけありますね。触れたら霧のように消えてしまいそうな、底知れぬ深い闇のような雰囲気がすげぇ……もしかしてほんまに坂本治郎だったりしますか?(?)

 

「かあさん、おかあさん」と坂本が語りかけ、「何のために生きるのか」と問う、彼を縛る罪として出てくる母。このシーンの度に絶対違うからね⁉︎マッマ絶対そんな意味で言ってないから!お母さんは子供が大切に決まってるでしょ!!!!!(クソデカ感情)ってなってた。坂本は自分の犯した罪を忘れないように母の亡霊を見てたんだろうけど…でもそうだよね…子供の頃に自分のしたことでお母さん亡くしちゃったらそうだよね…でも許されていいんだよ…めそめそ……

 

チャンバラ、あれアドリブなんですね。他の方のレポ見て知りました。私が行った回は会場中に響き渡る全力ケツしばきでした。めっっっちゃ良い音だったからそこだけ集めたディスクください。

永井と柳コンビ、いいんですよ…凄く仲がいい上司と部下でお互いを信頼してるのがひしひし伝わってきました。

 

周りが最後の手紙で啜り泣く中私が1番泣きそうになったのは柳が徴兵されて幸恵さんに一礼するシーン。劇中で柳は幸恵さんに想いを寄せていた描写があったので、最後はいい感じになると思ってたのに…

時代が時代なので登場男性の中で唯一健康な柳が徴兵されるのは仕方のない事だけどそこだけが気掛かりでならない。世の中は無情や…

柳が最後赤い光が差す方へ向かうの心が痛くて堪らなかった、どうか無事に帰ってきて。

 

三好さんの大人と子供の演じ分けもすごい。お母さんとの回想シーンを演じるのは29歳の三好さんなんだけどそこには子供の頃の坂本がいた。いたもん……子供の純粋無垢な瞳とちょっと舌足らずな喋り方が可愛かったです。so cute…

まあこの後に彼を縛る罪が生まれるんですけどね。

 

段々結核の症状が酷くなる演技も本当にリアルで私まで苦しくなりました。もしかして喘息経験者だったりします…?ってレベルで呼吸器よわよわ演技が最高だった。三好さん薄命の役が似合うんですね…

 

四季を抜け、春を迎えることができなかった坂本、そんな彼が桜を見て微笑むシーンは美しすぎて。これが宗教画なんですね…って顔になった。和装×花吹雪は刺さるからダメだぞ!

 

最後、風子が綴るとき坂本がいたポジションはお母さんと一緒でもしかして風子も縛られて生きていくの…?とちょっとだけ怖くなったけどきっと坂本は見守ってくれる。はず。

最後てっきり坂本は壇上で死を迎えると思ってたけど違った。猫みたいに自分の死を他人に見せなかった。彼は彼らしく最後まで生きたんだなぁ。最期に風子ちゃんから貴方の家族で良かったって言葉聞けて良かったね、死してなお生きるものが、遺したものがそこにあった。

 

一個だけ疑問だったのは、診療所をやっている幸恵と風子が結核に罹らなかった点。これは私の知識が足りない部分もあると思うけど、患者と一番接するはずなのに元気なのは何故?と思ってしまった。

 

個人的にはまらなかっただけですっごく素敵な作品なので知り合いに勧めたいと思いました。